Renault(ルノー)

  • 誤差率わずか5~10%の正確な解析結果
  • リードタイムを1/25~1/100に短縮
  • 非常勤・設計者が1人で完遂できる操作性

ルノー、Altair SimSolidでシャーシの開発期間を短縮

シミュレーションの専門家でない設計者でも、シミュレーションを活用して短期間で軽量なシャーシの設計が可能に

 

フランス系のRenault社、日系の日産自動車株式会社および三菱自動車工業株式会社の3つの自動車メーカーは、ルノー・日産自動車・三菱自動車アライアンスとして戦略的提携を結んでいます。現在、アライアンスとして世界に122の製造拠点を有し、およそ45万人の従業員により10のブランド(ルノー、ニッサン、三菱自動車、インフィニティ、ルノー・サムスン、ダチア、アルピーヌ、ダットサン、ヴェヌーシア、ラーダ)を展開しています。アライアンスは、自動運転車やコネクテッドカーに加え、多種多様な大衆車を提供するという理念を掲げています。Renault Groupおよびアライアンス向けに足回り部分を製造するRenault Chassis Le Mansプラントの敷地内には、総勢350人のエンジニアと技術者が主に試験と検証を行うChassis Technical Center(CTC)があります。

 

課題

ライバルひしめく現在の自動車市場において、各メーカーは様々な課題に直面しています。

その1つが車両の軽量化です。この課題を前に、車両の軽量化施策としてRenault社が取り組んでいるのが、軽量な新材料Aluとトポロジー最適化を組み合わせることによるシャーシの質量削減です。競合他社の先を行くには市場投入までの期間短縮が鍵であり、またコーポレートイニシアチブであるFAST(Future-Ready At-Scale Transformation: 未来志向の大規模な変革)を達成する必要があることから、CTCは製品開発のリードタイムを短縮するための方法を模索していました。

有限要素解析などの従来のシミュレーション手法でも、手頃な価格の軽量車両を開発して世に送り出すことはできますが、目標達成までの時間がかかりすぎてしまうのがネックです。CTCが求めていたのは、非専門家や非常勤の解析者、あるいは担当外の設計者であっても、設計プロセスの初期段階で有益かつ正確なシミュレーション結果を出せるような、使い勝手のよい新しいシミュレーションツールでした。用途は、Renaultブランド用のシャーシおよび製造ラインのツーリング / コンベアの設計を想定していました。

 

解決策

Renaultのシャーシ開発部門は2010年にAltairのソリューションを導入し、Altair HyperWorks Unitを使ってAltair OptiStruct™、Altair HyperMesh™、Altair SimLab™、Altair Inspire™を活用していました。同部門のデジタルシミュレーションスペシャリスト兼CAEリーダーであり、Renault社の溶接担当でもあるAnthony Reullier氏は、パリで開催されたAltairテクノロジーカンファレンス(ATC 2018)で新しいソリューションであるAltair SimSolid™のことを知り、すぐに興味を引かれたといいます。

SimSolidの使用には、解析に関する専門知識が一切求められません。生のCADデータを読み込み、CADアセンブリを簡略化せずにそのまま構造解析を実行するだけで、数分で結果が得られます。従来の構造解析では避けて通れない、形状の下準備もメッシングも必要ありません。どちらも多大な時間がかかり、広範な専門知識が求められ、ミスを招きやすい作業ですが、SimSolidではこの2つを省くことができます。これらの特長に魅力を感じたCTCのReullier氏のチームは、評価用のシャーシ開発プロジェクトを用意し、このシミュレーションツールをRenault社の設計プロセスに組み込むとどうなるかを検討することにしました。SimSolidの評価はPolytech Lille大学のJules Tamdjo氏のサポートを得て進め、正確な解析結果が得られるのか、Renault社のシャーシ設計プロセスに組み込むことで市場投入までの期間を短縮できるのか、また設計業務の柔軟性の向上によって設計案の評価を加速させることができるのか、という点に注目しました。ポイントは、設計者が周囲の手を借りずに、解析結果に基づいて1人で素早く設計を検討できるか、でした。

 

結果

評価プロジェクトの結果は、総じて非常に満足できるものでした。SimSolidのソフトウェアとしての価値が特に際立ったのは、正確性とリードタイムの短縮効果です。有限要素解析ツールと比べると、その差は歴然でした。リードタイムは週単位から時間単位に短縮され(Renault社の実際の設計プロセスの1/25~1/100)、部品やシステムの境界値の誤差は5~10%に抑えられました。さらに、非常勤の解析者や設計者が1人で設計業務を行えるほど操作が容易なため、ペーパーワークやミーティングを減らせる見込みもありました。

「われわれにとって、Altair SimSolidの最大の魅力は効率性です。正確なシミュレーションと最適化をワンステップで高速に実行できるソフトウェアでありながら、専門知識が一切いらないのですから。解析に関する専門知識も必要ありませんし、特にメッシング作業が不要なのが大きいです。また、SimSolidの結果は信頼できるので、設計者が自信を持って開発を進めることができます」

Anthony Reullier
Digital simulation specialist and CAE leader at Renault

SimSolidで正確な結果を得られるだけでなく、シミュレーションの専門知識がないユーザーにもシミュレーションや最適化が使える環境を提供できるAltairのソリューションは、まさにLe Mansのシャーシ開発部門が探していたものでした。主なメリットの1つは、時間の節約です。リードタイムは全体として最大数週間の短縮が可能で、それによって総開発コストの削減効果も生まれます。シャーシチームの間では、Altairの顧客対応と専用のカスタマイズに対する満足度も非常に高いということです。

SimSolidなら、レポートの作成も不要

SimSolidを使った剛性の計算

SimSolidで、開発のリードタイムを大幅に短縮