Wisconsin Precision Casting社

Wisconsin Precision Casting社のインベストメント鋳造と産業用ポンプ



複雑化する鋳造のニーズに最新のテクノロジーで対応


Wisconsin Precision Casting(WPC)社は、拡大する顧客基盤に多種多様な製品やサービスを提供しているインベストメント鋳造メーカーです。インベストメント鋳造は、ワックス(ロウ)や特殊な合金で原型を作ってから、それを溶解させることによって鋳型を作る製法です。宝飾品や彫像の製作に使われる最も古い製法の1つで、その歴史は5,000年以上前までさかのぼります。インベストメント鋳造ではワックスで作った原型をスラリーという泥状物の中に浸漬し、加熱して原型を溶解します。3Dプリンティングの登場を追い風に、あらゆる産業でこの鋳造法への関心が高まっています。細かな設計が可能で、柔軟性も高く、コストも抑えられるためです。インベストメント鋳造に関する最新のテクノロジーと専門知識を持ち合わせたWPC社は、作業時間の節約、コストの削減、ストレスの軽減につながるソリューションを提供しています。顧客の初期設計から最終製品の完成に至るまでの鋳造プロセスの全工程を支援し、エンジニアリングの補助、合金の選択、部品サイズの検討といった様々な場面で、顧客の期待以上のサービス、品質、コスト、納期を実現しています。

鋳造品を使用する産業からの声を受け、鋳造のニーズは複雑化し続けています。そうした産業や顧客の要望に応えるべく、WPC社では最新のテクノロジー、装置、工具の採用が急務となっています。

最近の設計検討では、solidThinking製品を用いて渦流ポンプケーシングの最適化と設計見直しを行いました。遠心ポンプでは流体は遠心インペラを一度しか通過しませんが、渦流ポンプの場合、流体がポンプの羽根に何度も当たります。渦流ポンプは、高圧で作動することができますが、ポンプ効率を高めるには厳しい公差が求められます。設計見直しの目標は、ポンプケーシングの材料使用量の削減、元の強度および性能の維持、そして鋳造効率の向上の3点でした。WPC社は鋳造周りを担当し、solidThinkingはシミュレーションツールであるInspireとClick2Cast®で構造解析のノウハウを提供しました。

「湯口の向きと寸法を変えることで、部品1個あたりの製造時間を大幅に短縮できました。部品性能について意見を交わすことで、当社が提供できるエンジニアリングの価値も格段に上がります」
Wisconsin Precision Casting社
Vice President of Engineering
Claude Klemowits氏

solidThinkingを設計および鋳造プロセスで活用


最終目標は、部品の強度と総合的な性能を落とさずに軽量化を成し遂げることでした。その点を考慮し、3段階で設計を見直しました。第1段階では、顧客からの設計データを元に、WPC社が迅速に鋳込み時の無駄を見極めました。湯口の数を減らし、スプルーに対して鋳型の向きを変えることで、ワックスツリー1つ当たりの製造数を増やしたのです。この変更により、型ばらしにかかる時間が減り、部品あたりの全体的なコストを削減できました。しかし、ケーシングの大幅な設計修正なくしては、この変更をスムーズに行うことはできません。

そこで第2段階では、ポンプケーシングの構造最適化に重点を置いて設計を修正しました。solidThinkingInspireを用いて鋳造時の荷重と重要なフィーチャーを特定し、既存の設計の基本解析を実施しました。その後、Inspireでポンプケーシングを最適化した結果、8%の質量削減と強度向上に成功したのです。最適化プロセスでは、鋳造関連の数値(引け巣、凝固時間など)も検証しました。

solidThinking Senior Application EngineerのDave Roccaforteは次のように説明します。「構造最適化スタディのセットアップでは、設計チームは製品設計を俯瞰的に検討することを求められました。それぞれのフィーチャーの重要性を見極めたうえで、機能と運用の両面から残すべきフィーチャーを取捨選択し、足りないフィーチャーを考える必要があります。また、設計が耐えなければならない荷重や、製造時の鋳型内の部品の向きも検討からは外せません。Inspireではこうしたパラメータを考慮できるので、最適化プロセスでは設計担当から製造担当までの全関係者の意見を聞きました」。

最終段階では、Inspireを用いてポンプケーシングの形状を見直し、最適化後の形状をPolyNURBでラップしました。設計を修正してからClick2Castで鋳造解析を行い、鋳型とスプルーツリーの設計が鋳込みに適しているか検証しました。この段階で、型ばらしの時間をさらに短縮するために湯口の幅を狭め、最終的な湯流れ・凝固解析を実行しました。プロトタイプの完成後、WPC社は3Dプリントしたワックス原型から鋳型を作成しました。

設計見直しの結果


鋳込みの完了後に最終品のX線撮影と検査を行ったところ、引け巣が最小限に抑えられていることがわかりました。これは、Click2Castでの鋳造解析結果を正確に反映しています。本プロジェクトでの包括的な設計見直しにより、WPC社は最適化と鋳込みプロセスをより深く理解できただけでなく、今後の設計に活かせる技術的な知見を得られました。

About Wisconsin Precision Casting社

家族経営を主体とするWisconsin Precision Casting社は、精密なインベストメント鋳造メーカーとして1964年に設立されました。医療機器、食品・乳製品の製造設備、重機、産業用ポンプ、金属加工などの様々な産業にサービスを提供しています。 2015年のNorthern Precision Casting 社の買収をはじめ、近年は飛躍的な成長を続けています。企業の買収や製品・サービスへの需要増加を受け、顧客企業へのサービス向上のために拠点を増設し、現在はウィスコンシン州の2箇所で事業を展開しています。

Wisconsin Precision Casting Corporation
300 Interchange N
Lake Geneva, WI 53147 US

http://www.wisconsinprecision.com/