Empire社 / Renishaw社

世界初の積層造形による金属製自転車フレームを作成



エンジニアリング技術の世界的リーダー RENISHAW社


RENISHAW社は、エンジニアリング技術の世界的リーダーとしてその地位を確立しており、製品の開発や製造の分野でイノベーションを生み出してきた確かな実績があります。1973年の設立以来、工程生産性の向上、製品品質の改善、そしてコスト効率の高い自動化ソリューションを実現する最先端の製品を供給してきました。

Renishaw社のレーザー溶融加工は、新進の製造技術として、医療産業のほか、航空宇宙、ハイテクエンジニアリングおよびエレクトロニクスの産業で活用されています。デジタル制御の積層造形加工であるレーザー溶融は、レーザーの集中的なエネルギーによって金属粉を溶かし、3Dの物体を生成します。

「Inspireで生成した新たな材料レイアウトによって、性能目標を満たすだけでなく、元の設計よりも軽量なコンセプトが生まれました。」

「シートポストブラケットを360グラムから200グラムへと軽量化することに成功しました」

INSPIREを設計工程で活用


Empire Cycles社のChrisWilliams氏は長年にわたって、生産工程で積層造形部品を使用していましたが、その技術を自転車本体の製造に応用する機会を模索していました。そこでRenishaw社にコンタクトを取り、状況を説明しました。Renishaw社の技術者チームは、シートポストブラケットのようなシンプルで標準的な部品であれば、積層造形や重量軽減に最適だと考えました。シートポストブラケットは一般的な部品で、検証や試験を行うのに十分シンプルであるためです。

材料量や重量を抑えたシートポストブラケットを設計するために、Renishaw社はsolidThinking Inspireを使用して、コンセプトの生成に取り掛かりました。Inspireを使用することにより、設計のコンセプト生成の段階で、理想的な部品形状を素早くかつ簡単に生成することに成功しました。

Inspireのようなツールは、積層造形と密接に連動し、プロセスの自由度がもたらすメリットを最大限に生かして部品の設計を生成します。そのため、従来の製造技術では実現困難であったより堅牢かつ軽量な部品を生産することができます。

元のCADデータをInspireにインポートし、着脱ボルトとシートポストブラケットのモデリングを行いました。これにより、着脱ボルトを固定し、シートポストの先端に作用力がかかるようにできました。さらに、部品のフィーチャーを削除して設計空間を最大化し、Inspireの設計の自由度を極限まで拡大しました。次にInspireを使って理想的な部品形状を生成しました。次に、より小さい設計空間を使って2度目の繰り返し計算を実行し、形状の微調整を行いました。

Inspireで生成した新たな材料レイアウトによって、性能目標を満たすだけでなく、元の設計よりも軽量なコンセプトが生まれました。Williams氏はこのモデルに自らの設計ノウハウをブレンドし、形状を積層造形のコンセプトに最適なものへと仕上げました。

Inspireで生成された新たな材料レイアウト1

Inspireで生成された新たな材料レイアウト2

積層造形で製造した自転車フレームの部品

結果:より堅牢かつ軽量な部品が誕生


軽量化こそがプロジェクトの究極の目的であり、その結果として最小重量で最大の強度を有する部品を設計することができました。「シートポストブラケットを360グラムから200グラムへと軽量化することに成功しました」と、Williams氏は述べています。

この1つの部品でこれほどまでの軽量化を実現したことを受け、Renishaw社とEmpire Cycles社のプロジェクト範囲は一気に拡大しました。

Williams氏は、標準的なフレーム素材を使用すると設計の自由度が大幅に制限されると言います。「型抜きまたは液圧成形アルミ管またはカーボンファイバーをチタンビットに接合してフレームを作成することを検討していましたが、それ以上の技術について模索し始めました。アルミベースのフレームなどを検討したところ、それだけで2100gにもなることがわかりました。そこで、強度を維持しながら、大幅に重量をそぎ落とした部品を作成できると確信したのです。こうして、主要なフレーム部品をすべて積層造形で作成するというアイディアがまとまりました」

強度面では、Inspireで設計したシートポストブラケットは英国基準の試験をすでに終了しています。この試験では、1,200Nの荷重を最高25Hzで50,000サイクル断続的に加えました。

「それならば部品が壊れるまで試験を続けて、実際にどのくらい強度があるのか確かめようと考えました。今のところ、標準の試験を6回(300,000サイクル)実行しましたが、まだ数字は伸びています。これは応力除去を施しただけの部品での試験です。さらに熱間等方圧加圧法(HIP)などの熱処理を加えることを計画しています。そうすれば、部品の強度特性はより一層向上するでしょう」


今後の計画


このように、solidThinking Inspireを積層造形と組み合わせることで明確なメリットが得られます。Inspireは、荷重を軸にして構造を探求する際に最適なツールであるだけでなく、積層造形構造における軽量化設計の計り知れない可能性への扉を開く鍵でもあります。

About Empire社 / Renishaw社

Renishaw社は、計測、モーションコントロール、スペクトル観測、精密加工などのコア技術を持つグローバル企業です。顧客企業のパフォーマンスを大幅に引き上げる革新的な製品を開発し、生産効率の改善や製品品質の向上のみならず、研究能力の最大化、医療行為の効果の改善などを実現しています。

Renishaw plc
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Wotton-under-Edge
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