ルノー

  • 重量を8% 削減
  • NVH および疲労の性能を30% 改善
  • モデリングの効率を60% 改善

より軽量でより効率的なパワートレイン実現のための革新的なアプローチ



世界中の大半を占める地域で、ほぼ継続的に燃料費が上昇しています。ヨーロッパ、米国、アジアの各国においては規制が強化される一方で、CO2排出量を削減し、車の燃費を最小限に抑えようとする消費者需要のシフトに対応するため、メーカー各社には、さらに燃費の優れた自動車の供給が要求されるようになっています。自動車メーカーは、より少ない燃料で長距離を走行できるような軽量車両および経済的なエンジンの開発に重点を置いた投資を行っています。

Renaultは欧州を代表する自動車メーカーであり、世界各地の施設で、乗用車からトラックに至る広範囲の製品を生産しています。同社では長年にわたり、高性能で燃費効率の高いエンジンの開発を進めてきました。2009年にRenaultは、平均CO2排出量においてヨーロッパで最も優れた自動車メーカーのトップ3社に名を連ねています。Renaultは現在、このランキングで最上位を獲得することを目標にしています。

Renaultのパワートレイン部門では、使用する材料を最小限に抑えられるよう重要なコンポーネントを再設計することにより、さらに軽量化を図り、既存の開発中のエンジンの性能を向上することを目標としていました。Renaultは、Altairのシミュレーションソリューションを既に使用していましたが、今回、コンポーネントおよびサブシステムレベルで使用するために、要求される最適化設計手法とプロセスの開発の支援をAltairに求めました。

この共同作業において、AltairはRenaultに、HyperWorksシミュレーション製品群が持つ設計最適化技術の幅広いサポートを提供すると共に、製品開発部門であるAltair ProductDesignを通じて、エンジニアリングの専門知識を提供しました。

この最初の共同作業は大きな成功を収め、幅広いプログラムで軽量かつ効率的なコンポーネントを実現することができました。ただ、担当チームの感想として、設計最適化技術が、最初から最適設計を推進する仕組みにはなっておらず、詳細な設計段階での重量の問題に対処するための戦略的ツールとして使用されていました。最適化技術を導入するのに最適な時期は、構造的な変更を加えた場合にもコストへの影響が最低で済む、開発段階の開始時です。このプロジェクトにより、開発の初期段階で最適化技術を使用するにあたって潜在的な阻害要因となっていることに対する認識が高まりました。パワートレインのモデルは非常に複雑であり、作成するのに長時間かかるため、最適化技術に従って形状の変更を提案した場合に、モデリングの段階が適切に考慮されない限り、製品開発時間が遅れる可能性がありました。

「Altairの支援により、開発の初期段階で意欲的な目標設定をしつつ、実際の製造における時間とリソースの制約に対処しながら最適化を適用することで、当社は最適化の効果を大きく高めることができました」
Dr. Anthony Hähnel Powertrain NVH CAE Team Leader Renault


Grand Challenge最適化プロジェクト

パワートレインの性能に最適化技術が及ぼす潜在的な影響をデモンストレーションするために、AltairおよびRenaultは、シミュレーションGrand Challengeを実施することに同意しました。このようなユニークなプロジェクトにおいて、Altairはエンジニアリング上のチャレンジを明確にした上で、革新的なソリューションを素早く開発するために、新しい設計手法およびプロセスを使用しています。Renaultにとってのチャレンジは、幅広い性能基準を満たしつつ、パワートレインモデルの構築を加速化し、複数のパワートレインコンポーネントに最適化技術を導入するためのプロセスを開発することにありました。Renaultはこの時期に、新しいパワートレインの開発に着手しており、開発プロセスの初期段階で最適化技術を活用した場合に、重量、性能、製造可能性にどのような影響を及ぼすかを確認するためにも、このプロジェクトは最高のタイミングで行われました。

このプロジェクトでは、パワートレインアセンブリ全体の騒音、振動、ハーシュネス(NVH)面での性能、エンジンの軸受の疲労性能という2つの主要な領域に焦点が当てられました。多様な耐久性およびNVH荷重ケース(図1、2)が、HyperWorksの最適化ソリューションOptiStructを使用して実行されました。OptiStructはこのような大規模モデルの処理に優れており、ボルト張力、ガスケット、高度の非線形材料および接触を含む、複雑な物理現象のシミュレーションが実行できます。

プロセスの最初のステップとして、設計空間を設計し、また、後で最適化プロセスのための設計の考慮事項として使用できる、壁の厚さやリブ高さなどのパラメトリック設計変数を特定することにより、CAD環境内でモデルがパラメータ化されました。

AltairのSimLab有限要素モデリング環境は、コンセプトCADモデルに基づくこれらの複雑な構造の構築を自動化するために導入されました。SimLabは、カスタムメッシング、境界条件および接触テンプレートを使用してモデルの厳密な品質基準を維持しながら、Renaultの標準的なアプローチと比較して、モデル構築プロセスの生産性を60%も向上しました。このプロセスを自動化することで、モデル形状の今後の変更すべてについて再メッシングが可能となり、わずか数分以内で最適化と解析の準備が整います。NVH、耐久性能、重量目標、製造性の最適なバランスを実現するために、HyperWorksのHyperStudy(図3)を使用して、実験計画法(DOE)のプロセスが実施されました。このプロセスは自動的に複数の設計変数を検討し、全体的な性能および重量の目標を満たすことができる、設計のバリエーションを素早く特定しました。

構造のNVH性能をさらに改善するために、パワートレインアセンブリ(図4)外側のリブ配置のためのトポロジー最適化にOptiStructが併せて適用されました。モデル内の設計空間領域を特定し、既知の荷重および制約条件を適用することにより、OptiStructは、NVH目標の達成要件外となったあらゆる材料を削除して、リブ配置の理想的な材料レイアウトを提案することができました。

図1 : パワートレインチームに必要となるシミュレーション

図2 : パワートレインチームに必要となるシミュレーション

図3 : 実験計画スタデ

図4 : NVH 性能改善に向けた外側のリブ配置のためのトポロジー最適化



パワートレイン開発の加速化

新しい製品開発プロセスは、Renaultにとって非常に効果的であることが判明しました。開発サイクルの初期段階で最適化技術を使用することにより、パワートレインチームのエンジニアは、通常では考慮しない何百もの設計パラメータを素早く検討できる一方で、最善のソリューションの選択については、引き続きチームでの判断が可能になりました。このプロセスにより、チームはモデリング作業に時間を費やさずに済み、付加価値の高い作業に集中することができるようになりました。

新しいパワートレインの最終設計では、社内のNVHと疲労累積性能評価指数が30%も改善された一方で、重量の8%削減も達成しました。市場の他のパワートレインと比較した場合、この改善により新型Renaultエンジンの性能はクラス最高レベルを達成しています。

Grand Challengeのコンセプトを証明する活動が実施されて以来、Renaultでは、同じプロセスを使用して、5%というより小さな軽量化を目標とした場合、最大で90%の性能改善がもたらせる可能性があることを確認しました。逆に、パワートレインの性能が既に目標を達成している場合は、このシミュレーション主導の設計プロセスを適用して、質量の削減に集中できるため、結果として軽量化に大きなインパクトを生み出せることになります。

Grand Challenge活動により、開発プロセスの初期段階で最適化技術を使用することで、コストの高い設計ループを短縮し、製品の検証に必要とされる労力が最小限に抑えられ、開発期間の短縮に役立つことが示されました。

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Renaultは欧州を代表する自動車メーカーであり、世界各地の施設で、乗用車からトラックに至る広範囲の製品を生産しています。同社では長年にわたり、高性能で燃費効率の高いエンジンの開発を進めてきました。2009年にRenaultは、平均CO2排出量においてヨーロッパで最も優れた自動車メーカーのトップ3社に名を連ねています。Renaultは現在、このランキングで最上位を獲得することを目標にしています。

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