「Inspireを使用すれば、競合製品に勝らずとも劣らない強度を持つ、より軽量な製品を設計できます。Inspireで生成される有機的な形状は、積層造形にまさに理想的です」
Nicholas Hardman氏
HardMarque社、Director
INSPIREとEVOLVEのデザインプロセスでの活用
HardMarque社の“未来型工場”に向けた最新プロジェクトは、チタンの積層造形によるカスタムメイドの自動車エンジン用ピストンでした。HardMarque社がこのプロジェクトにチタンを採用した理由は、拠点を置くオーストラリアで簡単に入手できることと、一般的なピストンの製造で使われるアルミと比較して強度がはるかに高かったたことが挙げられます。Hardman氏は、既存のピストンをベンチマークとして設計プロセスを開始しました。まずピストンの寸法を基に、Evolveで初期の設計領域を作成しました。その後、モデルをInspireにエクスポートしてコンセプト生成を行いました。
チタン製ピストンの場合、設計プロセスにおいて正確な荷重条件を設定することが必須です。Hardman氏は、「ピストンに正確な荷重がかかるようにする必要がありました。燃焼ガスの膨張によるピストンヘッドへの圧力や、シリンダー壁への油圧によるピストン側面への横力です」と述べています。Hardman氏はsolidThinkingの技術者チームのほか、15年以上のピストン製造歴を持つメルボルンの同僚からも協力を得ました。彼は、Inspireを使用して、こうした荷重シナリオに基づいたピストンの理想的な形状を生成したのです。
その後、Inspireで作成した形状をEvolveに再度インポートして結果を読み取り、最終的なピストンの設計を仕上げて、チタンで製造しました。
最終設計の重量は289gで、378gだった元の製品より23.5%も軽量化を実現しつつ、強度も維持しました。Hardman氏は、「ほかの自動車部品に限らず、ピストンの重量を軽減することも極めて重要です。燃焼エンジンの効率性がさらに高まり、燃費改善にもつながるためです。部品を軽量化するには、どこで材料を減らせるかを理解する必要があります。ここでInspireの出番です。製造可能な形状のタイプに制約が少ないため、積層造形との相性は最適です」と、述べています。