HardMarque社

チタンの積層造形によるカスタムメイドの自動車エンジン用ピストン開発



デジタル設計・製造スタジオのHardMarque社


HARDMARQUE社は、オンラインで注文を受け、オーダーメイドのカスタム部品をジャストインタイムで生産・納入する“未来型工場”の実現を目指す、デジタル設計・製造スタジオです。HardMarque社は、本拠地であるオーストラリアの製造業の未来には、こうしたイノベーションが欠かせないと感じています。このイノベーションが、従来の製造手法の殻を破り新興市場に進出する力となります。

HardMarque社のDirectorを務めるNicholas Hardman氏は、長年のCAD使用経験があり、Evolveに出会ったとき、ソフトウェアで生成される有機的な構造とその使いやすさに直ちに魅了されました。Hardman氏は、次のように述べています。

「Evolveによって瞬く間に可能性が広がりました。2次元のスケッチベースの設計を強いられることなく、リアルな3次元モデルをあっという間に設計することができました」

solidThinking Evolveを使用したHardman氏は、solidThinking Inspireのコンセプト生成のパワーに触れるや否や、Inspireが積層造形で圧倒的な真価を発揮することに気付きました。「Inspireを使用すれば、競合製品に勝らずとも劣らない強度を持つ、より軽量な製品を設計できます。Inspireで生成される有機的な形状は、積層造形にまさに理想的です」

「Inspireを使用すれば、競合製品に勝らずとも劣らない強度を持つ、より軽量な製品を設計できます。Inspireで生成される有機的な形状は、積層造形にまさに理想的です」
Nicholas Hardman氏
HardMarque社、Director

INSPIREとEVOLVEのデザインプロセスでの活用


HardMarque社の“未来型工場”に向けた最新プロジェクトは、チタンの積層造形によるカスタムメイドの自動車エンジン用ピストンでした。HardMarque社がこのプロジェクトにチタンを採用した理由は、拠点を置くオーストラリアで簡単に入手できることと、一般的なピストンの製造で使われるアルミと比較して強度がはるかに高かったたことが挙げられます。Hardman氏は、既存のピストンをベンチマークとして設計プロセスを開始しました。まずピストンの寸法を基に、Evolveで初期の設計領域を作成しました。その後、モデルをInspireにエクスポートしてコンセプト生成を行いました。

チタン製ピストンの場合、設計プロセスにおいて正確な荷重条件を設定することが必須です。Hardman氏は、「ピストンに正確な荷重がかかるようにする必要がありました。燃焼ガスの膨張によるピストンヘッドへの圧力や、シリンダー壁への油圧によるピストン側面への横力です」と述べています。Hardman氏はsolidThinkingの技術者チームのほか、15年以上のピストン製造歴を持つメルボルンの同僚からも協力を得ました。彼は、Inspireを使用して、こうした荷重シナリオに基づいたピストンの理想的な形状を生成したのです。

その後、Inspireで作成した形状をEvolveに再度インポートして結果を読み取り、最終的なピストンの設計を仕上げて、チタンで製造しました。

最終設計の重量は289gで、378gだった元の製品より23.5%も軽量化を実現しつつ、強度も維持しました。Hardman氏は、「ほかの自動車部品に限らず、ピストンの重量を軽減することも極めて重要です。燃焼エンジンの効率性がさらに高まり、燃費改善にもつながるためです。部品を軽量化するには、どこで材料を減らせるかを理解する必要があります。ここでInspireの出番です。製造可能な形状のタイプに制約が少ないため、積層造形との相性は最適です」と、述べています。

ピストンの設計領域

solidThinking Inspireで生成されたピストンの理想的なコンセプト

solidThinking Evolveによるピストンの製造前の最終レンダリング

今後の計画


HardMarque社は、solidThinking InspireとEvolveを使ったコンセプト生成やコンセプト開発のメリットを直ちに実感しました。Hardman氏は、どちらのツールもワークフローの効率を高めてくれたと言います。現在は、ピストンの次のバージョンに取り掛かっており、さらなる軽量化を目指しています。現時点での重量目標は250gです。これが完成した暁には、実際のエンジンでピストンを試験してから、HardMarque社の“未来型工場”で商品化する予定です。

About HardMarque社

HardMarque社は、部品や製品を研究し、その改善方法を検討します。どうすれば、より優れた部品を、より迅速かつ低価格で製造できるかについて、模索しています。特に、積層造形、材料最適化、3次元CADデザイン、2次元CADドラフト作成に力を注いでいます。

HardMarque Pty Ltd
Glen Waverley
VIC 3150, Melbourne

http://www.hardmarque.com/