「製品開発に革新的なプロセスを取り入れられないか、難しいことですがチャレンジを続けています。Altairは当社のチャレンジ精神を真摯に受け止め、Faraoneチーム全体に利益をもたらす設計プロセスの確立を目指してくれました」
Flavio Faraone
CEO Faraone srl.
開発プロセスにおけるINSPIREの活用
バルコニー手摺などの建築部材は、見た目の良さだけでなく、安全面に関する要件と規格に適合することも必要とされ、設計の難しい部分です。また、新商品の設計は可能な限り短期間に行う必要もあり、エンジニア、建築家、デザイナーは、設計とテストサイクルを短縮するソリューションを絶えず模索しています。
Faraone社の構造エンジニアリング責任者Gabriele Romagnoli氏は、製品開発と性能検証試験を担当しています。これまでの開発プロセスでは、Romagnoli氏のチームがデザインチームと建築家から設計案を受け取り、その設計案を評価した後、元の設計案に近い形状を維持しながら、厚みや素材などを変更することで、製品開発を行っていました。
最近のプロジェクトにおいては、新しい開発プロセスを適用しています。エンジニアチームがシミュレーションや最適化主導でゼロから設計を始め、最初に単純形状を作成し、Inspireでトポロジー最適化を行います。その最適化の結果から着想を得てデザインチームが改良を加え、最後にInspireで性能を評価するという手順です。
このとき、最適化プロセスは以下のステップをとります。まず設計空間を作成し、荷重と境界条件を設定します(ステップ1)。これらの設定によりInspireが最適化構造を計算し、性能に対して重量効率が優れる形状を導き出します(ステップ2)。その後、形状を微調整することにより最終形状を作成し(ステップ3)、Inspireの解析ツールで構造性能を評価します(ステップ4)。
建築構造物においては安全率が最も重要な要件のため、通常は高めの安全率を設定し、構造を最適化していきます。今回の検討では安全率を1.5とし、リニアメーターあたり300~450kgの荷重が掛かるケースを想定し、まず本荷重条件で静解析を実施します。その後、部品に局部座屈が生じていないかを確認するため座屈解析をおこない、変形、応力、座屈を評価します。
最終的に規格に適合するため、すべての製品に対して物理的な検証テストを行い、シミュレーション結果と照らし合わせることが必要です。現在、必要なすべてのシミュレーションをFaraone社内のエンジニアリングチームがHyperWorksとInspireを使って実施しています。信頼性の高い結果を得るためだけでなく、性能評価が可能な試作品を以前よりも格段に早く完成させることにも役立っています。